K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

EVと、各種バッテリーの正しい使い方

次期リーフはバッテリーが倍増して48kWhとか60kWhになるらしい。
何かのキーワードで情報検索していたときに、そのような話を見かけた。
たまに90kWhという文字もあったが、あれはバッテリーからの出力が90kWという資料を見間違えただけだろう。

ともあれ、バッテリー容量は大きければ大きいほど良い。
それは、長距離走れるからとか、充電の手間が減るから、という短期的な見方によるものではなく、バッテリーの負荷軽減につながるため寿命そのものを伸ばすことになるからだ。

一応説明しておくと、ある負荷装置があるとして、その装置に一定の電力を流す場合、容量の小さいバッテリーよりも容量の大きいバッテリーの方が、バッテリーが持っている電力量に対する放電電力の比率が小さいため、バッテリーへの負担が少ないということ。
もう少し具体的に言えば、100Wの負荷に対して、100Whのバッテリーを接続した場合、放電は1Cとなる。
しかし500Whのバッテリーを接続した場合、放電は0.2Cとなる。
1Cより0.2Cの方がバッテリーへのダメージは少ない、ということだ。

さらに、急速放電の度合いが低いほど、バッテリーの発熱も少ない。
全体で発生する熱量は等しいかもしれないが、温度上昇の度合いは低いので、温度的な意味でもバッテリーには優しいことになる。

同じことは充電する時にも当てはまる。
10kWhのバッテリーに20kWの充電器を使うと、2Cでの急速充電になる。
しかし40kWhのバッテリーであれば0.5Cの充電となり、バッテリーへの負担は少なくて済む。
もの凄く大雑把な計算なので、その辺のツッコミは勘弁してほしい。

必ずしも急速充電が悪いわけではなく、設計上の想定内で推奨される環境下での使用であれば問題はないものの、充電電流は極端に大電流でない方がいいのは明らかだし、温度も低すぎたり高すぎたりしてはいけない。
細かい話は、リチウムイオンバッテリーの種類によっても変わってくるので、また気が向いたら情報を集めることにしたいが、基本的な原則は変わらない。
バッテリーが無理なく動作できる範囲で、無理なく使ってやること。これが長持ちさせるカギになる。

 

話をEV以外に向けよう。
現在使われているバッテリーには様々な種類がある。
鉛蓄電池、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン、あたりが一般的だろうか。
それぞれ、適した使い方というのは異なるので、以前の常識が新しいバッテリーに通用することはない。
それを勘違いして「xxした方が良い」と最初から決めつけて、昔からの習慣に倣って使ってしまうと、寿命を縮めかねない。
自分の身の回りでも、意外と知らない人が多い(というよりも気にしていない人が多い)ので、メモがてらまとめてみようと思う。

 

鉛蓄電池
名前のとおり鉛を使用しているので、非常に重たいバッテリーである。
しかも古くから使われている。
では時代遅れなのか?というと、用途によってはそうでもなかったりする。

重量を気にしなければ、大容量のバッテリーを製造しやすい。
そのわりには安価である。
充電制御が比較的簡単である。
容量が大きいので、相対的に大電流を流すことも一応可能。
そのような特徴を生かして、自動車のバッテリーやUPSに使用されている。

長持ちさせるコツは?
保存するときは満充電にしておくことだ。
使ったら必ず充電する。充電した記憶が怪しかったらとりあえず充電する。
とりあえず満充電にしておけば問題なし。
非常にわかりやすいバッテリーである。

逆に、放電した状態で放置してしまうと電極表面に硫酸鉛が付着してしまい、内部抵抗が増大して出力可能な電流量が低下し、あっという間に寿命を迎える。
バッテリーあがりを起こした時、バッテリーが完全に復活しないのは、これが原因である。
詳しいことを知りたければ「サルフェーション」で検索してほしい。

 

ニッケルカドミウム
このバッテリーについて回る言葉。それが「メモリー効果」である。
憎きバッテリーの敵である。
これの対策は、使いかけの状態で充電すると徐々に本来の容量を使い切れなくなってしまうので、しっかり放電させてからしっかり充電すること。
今でもこの使い方が染みついている人は多いはず。

長持ちさせるコツは、上に書いたとおり。
保存時は、1.0Vあたりまで放電させてから保管。満充電での保管はNG、だそうだ。

 

ニッケル水素
ニッカドの後釜的存在。
モリー効果からは多少解放されたものの、自己放電は増加。
過放電により一気に寿命を迎えるケースがあるため、保存時は満充電した状態にしておくことが望ましい。
なお、エネループはメモリー効果や自己放電についての特性を改善しているが、満充電での保存が推奨されている点は変わりない。

 

リチウムイオン
現在一般に使用されているバッテリーの中で、最も重量あたりの電力密度が高いバッテリーである。
ただし、充電制御に失敗すると発火する。
製造を少しミスっても発火する。
便利だが危険なバッテリーである。
それゆえ、セル単体で使用されることは皆無に等しく、制御回路とセットにして販売・使用されることがほとんどである。
セル単体だと思っても、実際には小さな回路を挟んでいたりする。

長持ちさせるための使用法、それは 満充電しない&過放電しない である。
もっと具体的に言えば、残量20~80%くらいの間で使用すること。
これはバッテリーの開発者やEVの開発者、さらにはノートPCの開発者までもが口を揃えて言っていることである。

では保存はどうするか。
これも使い方と同様に、中途半端な充電状態で保存するのがベストである。
自己放電で電圧降下することを考えれば、残量70%くらいで放置しておくのがよいと思われる。

 

まとめると、鉛蓄電池は使ったらひたすら充電。満充電が正義。過放電は死亡フラグ
ニッカドは使い切ってから充電。メモリー効果に注意。ただし保管時は使い切った状態で寝かせる。
ニッケル水素はメモリー効果についてはニッカドよりルーズな管理で問題なし。保管時は満充電で。自己放電が多く過放電は死亡フラグ
リチウムイオンは充電のしすぎと放電のしすぎに注意。中途半端が正義。過放電は即死の可能性あり。

言い忘れたが、どのバッテリーも過充電と過放電がNGなのは共通認識だ。
過充電は発火、過放電は即死、というケースが多いが、そうなった場合の許容度はバッテリーによって異なるので、バッテリーに応じてしっかり考えて使ってほしい。
とはいえ、充電器を介して普通に充電し、正常に動作している機器で使用する分には全く問題ないはずだ。

問題があるとすれば過放電だ。
内部抵抗に起因する自己放電は不可避なので、放置しておけば必ず放電が進む。メンテナンスを怠れば過放電となる。
過放電は即死となるケースが多いのは前述のとおりなので、定期的なメンテナンス(充電)は欠かさないようにしたい。

 

それでは皆さん、ごきげんよう