K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

放熱は物量がモノを言う、という当たり前の結論

NVMeタイプのSSDで発熱と戦っている方々、いかがお過ごしだろうか。
冬になって、ほっと一息ついているのではないだろうか。
そんなわけで、今日は放熱について。

 

放熱と言えばヒートシンク、ヒートパイプ、はては水冷から液冷からガス冷まで様々あるが、今回はもっとも単純で簡単なヒートシンクに限定したい。

ヒートシンクの素材にはアルミ、あるいは銅が使用されるが、違いは重量だけではない。
銅の方が熱伝導率は良いのだが、アルミの方が自己放熱性が良い。
そのため、パッシブヒートシンクや風量の少ない状態ではアルミの方が放熱性能が高かったりする。

これに関しては、SSDに装着するヒートシンクの比較記事で、同じサイズに切ったアルミ板と銅板ではアルミの方が低温だったという結果が出ている。
たしか記事はエルミタージュだったと思う。
熱伝導率に優れる銅であっても、風がなければ性能を発揮できない例である。

余談だが、自動車のラジエータもアルミ製と銅製(黄銅だったはず)がある。
通常はアルミ製だが、社外品のアフターパーツではアルミ製ではないものもあるのだ。
これに関しては、走行時の性能は後者が高く、渋滞時は前者が高い、という話も聞いたことがある。
これも素材の性質を裏付けるものと言えよう。

さらに余談だが、普通のアルマイトとブラックアルマイトで性能差はあるのか?という話を思い出した。
ヒートシンクの雄であるアルファのページで読んだ記憶があるが、これはブラックアルマイトだそうだ。
ただし、周囲の熱源から赤外線で熱を吸収しない環境にあることが条件だとか。
なんとも面白い話である。

はては、ファンはヒートシンクに対して吹き付けるのが良いのか、吸い出すのが良いのか、といった話もあるが、それは脱線しすぎるので置いておくことにする。

 

さて、自己放熱性に優れるアルミ製のヒートシンクであるが、同じアルミ製であるなら性能差はどこから生じるのだろうか。
複雑な形状による表面積の拡大は当然だが、一連のSSDヒートシンクのテストを見ていると、ヒートシンクの重量が重要であるように思える。

たとえば、変換ボードを使って高い冷却性能を発揮している有名な製品として、KryoM.2がある。
ちなみに日本語でどのように発音するかは不明である。
くりょー?

それはさて置き、この製品はそれほど複雑な形状のヒートシンクではない。
隣のスロットとの干渉を避けるため溝も浅い。
しかしテストしてみれば圧倒的な冷却性能を示す。

これに対して、変換ボードを使わないSSDサイズのヒートシンクの場合、縦方向に拡大して表面積を大きくした製品であってもKryoには及ばない。
接触面が熱伝導両面テープとシリコンの違いなのか?とも思ったが、そこまで相関性があるようにも見えない。

そのため、最大の違いはヒートシンクの重量ではないか、と思う。

NVMeとはいえSSDが発する熱量はそれほど大きなものではない。
まして、単体のヒートシンクとKryoのヒートシンクでは重量に何倍もの違いがある。
ヒートシンクの熱容量が増えれば、吸熱できる量も増える。
ただし熱伝達速度の問題もあるので、やみくもに表面積を増やしても実際に使用される面積は少ないのだろう。
熱源に対して、その熱量に見合った分の吸熱素材が、妥当な熱伝達の範囲内に十分な質量を持って存在していることが重要だと考えられる。
それにより、安定した冷却性能を獲得しているのだと考えるのが自然だ。

そうであれば、単体のヒートシンクも肉厚で重量化すれば性能を上げられると思うのだが、マザーボードに直接実装する関係上、製品のサイズには制限がある。
また、重量の増加によって使用中に脱落する危険も増す。
危険回避のためには確実に固定しなければならないが、実装上難しい。
そのようなわけで、簡単にヒートシンクを追加して得られる冷却性能は、それなりのものでしかない。
それが現状のようだ。

ただ、少しでも高い放熱性能を得たいのであれば、少しでも重たいヒートシンクを選ぶというのは判断基準としてはアリだろう。
確実に固定できれば、という但し書きつきで。

個人的には、過去のCPUクーラーを加工して格安かつ激冷を実現できないかと考えていたりするのだが、固定方法を確立できないのが最大のネックだ。
いっそのことPen4世代のCPUクーラーにSSDを2個並べて貼り付ければ相当強力に冷却できるはずだが、NVMeのSSDを2つ並べて使用できるマザーがなければ無理な話である上に、固定する方法を考えつかない。

ヒートシンクを見ているとゴムバンド(シリコンバンド)でSSDと束ねるような固定方法もあるが、耐久性はともかく見た目が悪い。
まして、テープで固定するような製品は簡単に浮きそうで怖い。

ここはパッシブヒートシンクを諦めてファンを使用すべきなのかもしれないが、NVMeなSSDは幅22㎜しかない。
しかしマザーボードとの干渉も考えると、それほど大きなファンは使用できない。
そのようなわけで、マザーボードに直接実装する場合はあまり効果的な冷却方法がない。
「何もしないよりマシ」と考えるしかないのかもしれない。

他に考えられるのは、PC内を負圧にしてサイドパネルからSSD周辺にダクトを作って風を当てる方法くらいだろうか。
問題は、エアフローが変わる(乱れる)ことで、他の熱源への影響があること。
数Wのために数十Wの熱源を無視することはできないので、難しいところだ。

あるいはSSDの場所を風洞化して、そこにブレードサーバーのごとく横方向に風を通せば・・・とも思ったが、それこそM/B上でユーザーができる範疇の話ではない。
アイディアだけはあるが、実現は難しい。

 

結局のところ、お手軽冷却はそれなりの結果しか得られず、性能を求めるのであればPCI-Eのレーンとスロットを犠牲にして変換基板を使うしかない、という現状を裏付ける結論となった。
そして、物理特性に逆らうのは面倒であるということだ。

 

 

取り留めの無い結論になってしまったが、こんなところで。

それでは皆さん、ごきげんよう