K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

動画におけるRAWと422の使い分け

写真好きであればRAWという単語は知っているはず。大容量であるが幾らでも後処理できる魔法のファイルだ。
しかし、これが動画の世界では少し意味合いが変わってくる。個人的な不明点について調べたので、ここに記しておきたい。

 

仮に4000万画素のカメラの場合、14bitのRAWファイルは70MBである。カメラによっては圧縮処理をするが、それは横に置いておく。
動画であれば、4Kを想定した800万画素の場合、12bitのRAWファイルは30fppsだとして360MB/sである。
※ この計算は大雑把なのであしからず

静止画であれば 「記録媒体への書き込みが終わるまでお待ちください」 という話が通用するが、動画の場合は待ったなしである。そのため、安定した転送レートを稼がなければならない。
また、記録媒体も有限なので、品質が保たれるのであれば転送レートは低い方が良い。

そこで、早くからラージセンサーでの撮影環境を提供してきたRED社の製品は、1:3とか1:7のような圧縮を行っている。圧縮率から考えて、当然非可逆圧縮だ。更に、提供開始された時期を考えれば、ProResなどと同じDCTベースの圧縮を行っている(あまり高度な事はしていない)と思われる。
最大で13とか15分の1くらいまでの圧縮モードが用意されていたと思うが、こんなに圧縮して問題ないのか?と思う。DCTベースの圧縮技術はDVでも使われているが、これは圧縮率が1:5だったはずだ。
ただ、JPEGに置き換えて考えてみた場合、4000万画素の写真は10MBもあれば十分に高画質であろう。元は各色8bitで120MBもあるのだが。
そう考えると、RED社の考えていることもあながち間違ってはいない(現実的な落としどころとしては悪くない)と思われる。

そんなわけで、静止画ではRAW=限りなく非圧縮に近い(ほとんどロスレスに近い)巨大なファイルだが、動画ではRAW=ディベイヤーされていない比較的低圧縮な(殆どの場合でロスレスではない)ファイル、という認識になる。

 

なお、逆算した値なのでどこまで正確かは不明だが、同じRAWでも圧縮率は様々だ。
RED社のRAWは前述のとおり、圧縮率について多数のオプションがある。ただし、どこかに品質の閾値になるようなラインがあるかもしれないので、事前テストは必須だろう。
Cinema DNGは、基本的に非圧縮のようだ。
ProRes RAW HQは、およそ1:2
ProRes RAWは、およそ1:3
SONYの16bit Linear RAWは、およそ1:3.3

ちなみに、SONYの16bitというのは実質12bitか14bitだと思われる。撮像素子の動作速度を考えれば12bitが正解に近いように思える。しかしラチチュードを考えると14bitの可能性もある。F65搭載の2000万画素級のセンサーが15bitだったはずなので、その辺までは可能性としてありそうだが。
しかし、世界のSONY様でもRAWを圧縮しているというのは少し感慨深いものがある。自分だけだろうか。

 

さて、422記録で低圧縮なファイルと、似たようなビットレートのRAW記録があった場合、どちらが良いだろうか。
前者であれば、重たいディベイヤー処理をする必要がないので、後処理は楽だろう。
しかし、カメラ内のディベイヤー処理がどの程度の品質を持っているのか不明な場合(数百万レベルの機材でそれはないだろうが、過去に高級コンデジで明確な違いを確認したことがある)は、後で時間をかけてディベイヤー処理した方が良いかもしれない。
また、同じビットレートでも圧縮率が異なる事も考慮したい。4K10bit30fpsの場合、非圧縮の422は450MB/sであるが、非圧縮のRAWは300MB/sである。
また、422記録で12bitというフォーマットは存在しないはずだ。ProRes4444であれば12bitに対応しているが、ProRes422は10bitまで。
そのため、品質を優先するのであれば後者を選択するのがベターである。

 

また、422記録でも各社独自のフォーマットがあったりするので比較が難しい。
デファクトスタンダードはProRes422だと思っているが、圧縮処理がDCTベースなのもあり、今となっては設計が少々古い。
浮動小数点演算が必要になるため、デコード誤差が発生する。
これに対して、SONYが採用しているXAVCはH.264ベースの圧縮であり、16bit整数演算で済むのでデコード誤差は発生しない。
他、諸々の改善によって、4K10bit24fpsで240Mbpsという低ビットレートで済むという。
ProResLTでも届かないくらいなので、これについては後発の利が発揮されている。
素直にうらやましい。

 

余談だが、ProRes422収録だと1TBでも3時間くらいしか撮影できないよ!バックアップの容量厳しいよ!4TBのHDDでも足りないよ!と嘆いている人がいるが、これについては規格の古さという点で同情はする。
が、10TBのSSDを搭載したPCに40TBクラスのRAIDを複数繋げて使っていて感覚がマヒしているので、「4TBで足りなければ10TBとか14TBを買えばいいのに(マリーアントワネット風味)」と思う。

 


それでは皆さん、ごきげんよう