K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

TDP35WのCPUなのに、123Wも消費する件について

北森瓦版を見ている方は知っているネタかと思うが、今後リリース予定のCPUがそういうことになっているらしい。
https://northwood.blog.fc2.com/blog-entry-10183.html

i9の10コアでTシリーズの35Wとか、普通に考えて無理。
ただ、気になったのは「仮に123W食わせたとして、本当に4.2GHzまで回るのか?」ということ。
リザルトIDの4.2GHzという表記はマルチコアフルロード時の駆動周波数だと思うので。
少し気になったので、手持ちの情報で軽く計算してみた。

 

まず、Intelの14nmプロセスにおける電圧と周波数の相関性について。
周波数の低い順に挙げていく。

◆400MHzで0.6V前後
CoffieLakeのノートPC、アイドリング時の数値だ。
差し引いて考える要素があるとすれば、モバイル向けCPUなので、ある程度選別品であると思われる。

◆1200MHzで0.8V前後
Broadwellのデスクトップ、アイドリング時の数値だ。
差し引いて考える要素があるとすれば、Skylakeより前の世代なので、パイプラインは少し浅い。

◆2000MHzで0.9V弱
BroadwellのES品、フルロード時の数値だ。
SkylakeのCeleronでも、ほぼ同様の数値だったと記憶している。
Intelの14nm世代は基本的にモバイル向けで、2.5GHzくらいまでは電力効率が良いので、この辺のクロックまでは意外と電圧も上がらないし発熱も少ない。

◆3500MHzで1.05V
Broadwellのデスクトップ、フルロード時の数値だ。

◆4200MHzで1.2V強
CoffieLakeのノートPC、フルロード時の数値だ。
この辺の周波数まで来ると、電圧をガンガン上げないと動かない印象。

 

さて、定格1.9GHzでTDP35WのCPUは、123W使って4.2GHzまで回るのだろうか。

上に挙げた情報から、1.9GHzで0.9Vだと仮定する。
知ってのとおり、消費電力は電圧の二乗x周波数に比例する。
35W⇒123Wは約3.5倍なので、周波数を1.9GHz⇒4.2GHzに(2.2倍)引き上げるためには、電圧の二乗が1.6程度でなければならない。
つまり、電圧は1.14Vくらいになる。

気持ち電圧が低いような気はするが、選別品であれば何とかなるだろう。
そう思える程度には現実的な値だ。

ちなみに、上に挙げた2.0GHzのBroadwellは10コアだが、フルロード時のパッケージ消費電力は40~50W程度だった。
14nmの最適化とパイプラインの段数を考えると、現行世代であれば35Wの枠内で1.9GHz動作は可能だろう。
そういう意味でも、現実的な値だと考えられる。

もっとも、TDPの存在意義が微妙になってきているのは否めない。
こんなCPUを使った日には、ACアダプタで駆動させるようなコンパクトなPCを組んだら、負荷一発で容量オーバー昇天という可能性もある。
Northwood時代のIntelは、もっと律儀というか正直というか正確な表示だったのだが。
そう考えると、CPUの消費電力というのは会社の状況をよく表しているように思う。


それでは皆さん、ごきげんよう