K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

効率良くGPUを冷やすには、ヒートシンクの形状に従うべし

現在販売されているグラフィックカードを見ると、その膨大な熱を放熱するためにヒートパイプを使用しているものが多数を占める。
TDPを基準として考えれば、CPUが100W程度に収めているところを、GPUは180Wや300Wといった値になっているので、そもそも熱量が違う。
また、形状の自由度が高く交換が容易なCPUクーラーと異なり、GPUクーラーは厚さに制限があり、交換するとしても選択肢が少ない。

GPUのチップを正面に見てPCIeスロットを下にした場合、当然前後方向は基板があるため風は抜けない。
必然的に左右か上下に風を抜けさせて放熱することになる。

どちらが多数派か?というと、恐らく左右方向にフィンを設けているパターンだろう。
動作中のグラフィックボードに手をかざしてみると分かるが、上下方向には排気せず、左側のブラケットや右側の開放部から排気している。

しかし最近、上下方向にフィンを設けている製品が増えてきたように思う。
そして、そのいずれも、高い放熱性能を発揮している場合が多い。
排気がM/Bに直接当たるのが難点だが、この形状の利点は何だろうか。

ヒートパイプの取り回しを見ると、何となく答えが見えてくる。
左右方向のフィンの場合、GPUに接触しているヒートパイプをUの字に曲げてフィンまで熱を運ぶ。
つまり、フィンまでの距離が長い。
上下方向のフィンの場合、GPUに接触しているヒートパイプは直線的に配置できる。
つまり、フィンまでの距離が短い。
また、使用可能な本数も、後者の方が多いようだ。

これらが要因となって、放熱性能の差が生じていると考えられる。

 

さて、今回注目したいのは上下左右の違いによる性能差ではない。
これを、リグとしてフレームに取り付けた場合のエアフローである。

市販のフレームを見ると、たいていブラケット側にファンを取り付けられるようになっている。
風の流れ方としては左右方向だ。
しかし、左右方向のフィンの場合、一方向の風の流れは左右どちらかの排気の妨げとなる。
ブラケット側から吹き付けるような風があれば、間違いなくブラケット側への排気は困難だろう。
特にスペースに制限のあるGPUクーラーは薄型のファンを使用しているため、風量はともかく排圧が弱い。
よって、排気を妨げないようにするため、可能であれば左右両方から排気するようファンを設置したい。

その場合、吸気はどこから行うか?という話になるが、暖かい空気は上へ動くため、ベストなのはPCIeスロット側、つまり下側だろう。
本来であればM/Bがあるので下から風を通すことはできないが、ライザーを使っていればそれも可能だ。

では、上下方向のフィンの場合はどうだろうか。
この場合、理屈上では左右方向から吸気して上下に排気するのが良さそうに思える。
しかし、暖かい空気は上へ動くため、下から排気するのは少々効率が悪そうだ。
また、下側にはM/Bなどがあるはずなので、それらを温めてしまうのも良くない。
少々手間ではあるが、横からダクトなどを使ってファンまでの吸気経路をある程度限定し、排気と混ざらないようにしたうえで、ダクトとは反対側から排気を引っ張るのがベターかもしれない。
また、左右方向の風は排気の妨げとはならないはずなので、素直にフレームにファンをつけて普通に使っても問題は小さいだろう。

 

・・・と、机上の空論を記してみたわけだが、市販のフレームを使う限り検証実験は難しい。
よって、自由に組める自作フレーム(アングルの組み合わせ)で、そのうち検証してみたいと思う。
もっとも、同形状のグラフィックボードを揃えないと検証しづらいので、ハードルは高めだが。

あと、違いがあっても数度程度だろうとは思っている。
夏の高温下でなければ恩恵はないだろう、おそらく。

 

それでは皆さん、ごきげんよう