K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

FUJIFILM GFX100 から読み解く、高画素モデルでの動画撮影

まず、この記事を読んで欲しい。
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1251329.html

 

冒頭の、5Dmk2登場以来の業界の流れについては、素直に「なるほどね」と思う。
あと、センサーサイズが肥大化しているのは、8Kへの対応で画素面積を確保するための策であると思われる。

 

さて、記事になっているGFX100だが、35㎜フルサイズを超えるサイズでの動画撮影ができる。
元々の撮像素子が1億画素を超えているので、どうやって駆動しているのか、どうやって処理しているのか、疑問に思った。

富士フィルムのサイトを確認すると、動画再生時でも横方向のクロップはなく、純粋に縦方向がマスクされただけである。
4KDCIとQFHDの差異を無視して考えれば、読み出している画素数は11648×6552であり、約7630万画素である。

RED社のMonstroが3540万画素を60fpsで駆動するのであれば、倍近い画素数を30fpsで駆動するのはおかしいことではない。
と考えられるのは、製品レベルが同じである場合だけだ。
値段も全く異なれば、製品のコンセプトも異なる。
そのため、全画素読み出しは絶対に行っていないと断言できる。

 

では、どのような落としどころなのか。

 

ヒントになるのは、製品発表時の「約5,050万画素分の情報量を用いたオーバーサンプリングによる入力」という発言だ。
この段階で、全画素読み出しでないことは裏付けられる。

しかし、どうやって間引いているのか。

素数の比率を見ると、1/1.51であり、2の平方根である1.41に近い。
完全な分数であれば、ラインスキップやサブサンプリングなどで完全に無視している画素が発生しているのだと判断できる。
しかし、割り切れない数字であり、なおかつ1.4~1.5くらいの値が絡んでいるのであれば、ビニングのような処理を行っていると推測できる。

よく見れば、「画素分の情報量」という表現であるので、「~相当」という意味合いで使っているのだろう。
したがって、「実際に読み出している画素数は5050万画素未満だが、他の画素は無視しているわけではなく情報をある程度使っています」ということだ。

 

次に、使っている撮像素子から情報を探ろう。

 

これは簡単で、裏面照射のラージセンサーを製造しているのはSONYだけだろう・・・と考えて製品情報を探したところ、「IMX461AQR」にたどり着いた。
位相差画素についての記述はないものの、この派生品と考えて良いだろう。

ただ残念なことに、「Please refer to the datasheet for binning/subsampling details of readout modes.」と書かれており、ビニングについての情報は得られなかった。
そのため、推測するしかないのだが、フル解像度で10.1fpsであれば、動画向けのアスペクトでは1.33倍の13.4fpsが可能だ。
2x2ビニングして画素数が1/4になっても、フレームレートは4倍にならず2倍にしかならないので、2x2ビニング時は26.8fpsとなる。
3x3ビニングであれば40.2fpsであり、30fpsの基準を満たす。

あとは、ADCのbit数を減らすことで高速化できるはずだが、10.1fpsというのは12bit時の値である。
ADCのオプションは11,12,14,16bitで、16bit時は2.7fpsであるとも書かれているので、11bitであれば倍速ではないとしても多少の高速化はできそうだ。

したがって、可能性があるとすれば
 ・2x2ビニングで11bit駆動
 ・3x3ビニング
このどちらかだろう。

ちなみに、11648×6552を半分にしても4Kを上回る解像度であるため、2x2ビニングであれば画質的な弊害は表面化しにくい。
しかし、3x3ビニングだと4Kはギリギリ足りるが、4KDCIだと僅かに拡大処理することになる。また、ビニングの弊害が露骨に確認できそうな気もする。

そのため、可能性が高いのは2x2で11bitだと思われる。
これなら、処理する実画素としては1907万画素となり、昨今の2400万画素モデルの動画撮影時(2025万画素)と処理すべきデーター量は同等となる。
あとは、ビニングによってどの程度の情報量が畳み込まれているかによって品質が変わってくるわけだが、5050万画素という発表情報や撮影結果から判断する限りでは、それなりに意味のある結果が得られているのだと思う。
撮像素子のサイズが顕著に表れるのはSN比だと思うが、ビニングにより平滑化されることはこの点でもメリットになる。

 

ということで、GFX100について少し考察してみた。
しかし、ビニングして、更に縮小処理して、折角色解像度が上がったのに記録するときは4:2:0や4:2:2である。
勿体ないとは思うが、静止画向けのカメラの宿命でもある。
4:4:4で記録したところで、一般向けにはオーバースペックなのだ。
逆に、4:4:4映像を欲しいがために縮小前提での設計をしてくる業務用カメラが無いわけではないだろうが、読み出し速度と解像度のバランスを考えると、可能性は結構低そうだ。

動画向けのカメラは、どうせ4:2:2までしか求められないのだからベイヤー配列で画素数ネイティブでOK、という割り切りの元に成り立っている。
もっとも、必要な撮像素子を設計・製造できることが前提でもあるので、ラージサイズセンサーを使う機器に関してはその部分のハードルが高い。
とはいえ、CCD全盛期であれば製造できるところが限られていたものの、今はそれに比べればハードルは下がっている。
その変化に乗じて登場してきたのがREDなどのメーカーだ。
タイミングを考えると、とても先見の明があるものだと感心する。

 

 

それでは皆さん、ごきげんよう