K75thunderbirdのブログ

どちらかというと自分の頭の整理用です。ネタとしてはモバイル、自動車、ロードバイク、電気関係やPC関係の突っ込んだ話題、ややデバイスやコンポーネント寄りの偏った内容になると思われます。

高画質化の流れ(個人的まとめ)

高画質での動画撮影に関連して、時系列に並べるとこんな感じになると思っている。
放送局御用達のような業務用規格は縁が無いので含めていない。
発表と普及にはズレがあるので、具体的な年数までは記さない。

・DVと派生規格の登場
・MPEG2のまま高解像度化を図る(この辺でIntraからLONGへ)
・記録メディアがテープやディスクからメモリへ
H.264が使われるようになる
・5Dmk2による大判センサーの一般化
・REDの勃興(フルHDからの脱却)
・REDへの各社対抗品の開発
・記録形式としてのLOGの普及
・4Kを超える6Kや8K化、高FPS化 ←今ここ

 

アナログ全盛期に登場したDV規格は画期的だった。滲まないしジッターもない。実際には4:1:1記録なので滲んでいるのだが、アナログと比べたら雲泥の差である。ただしDVminiでは60分まで(後に80分も出たが)なので、長時間収録には向かなかった。互換性が悪化するのを恐れなければ1.5倍モードも使えはしたが。
※ ラージカセットの規格もあったはずだが、結局見ないまま終わった気がする

 

その後、SD画質の枠を超えようとする製品が出てくる。1440x1080iでディスク記録というような製品が出現し、解像度の向上、記録フォーマットの脱Intraが進んだ。
しかし、ディスクは衝撃に弱い。
ディスクは容量が少ない(テープと比べれば)ので、長時間記録に向かない。
Intraフォーマットではないので圧縮率は高いが、エンコーダーの性能が各社バラバラ。

ちなみに、この辺りで解像度的な問題からCCD⇒CMOS化が進んだように思う。
また、この辺りで記録メディアの正解を求めて数年間は迷走したように感じる。
それに影響されて、デザインが微妙な感じのものが多かったようにも感じる。

 

DVカセットにMPEG2記録するHDV規格が出て「やっぱりディスクよりテープだよね」という感じになったものの、利便性と低価格化によってメモリが優勢になり、デザインもコンパクトに。
ちなみにDVだとminiカセットで60分として、容量は12GB程度である。メモリが16GB積めれば、メモリーカードで16GB挿せれば、という感じで一気に主流になった感がある。

 

そして、MPEG2でHDに対応できないわけではないが、メモリを効率的に使いたい(エンコーダーの省力化が前提)ので、H.264が台頭。それと同時にAVCHDが規格化されたものの、当初はエンコーダーによるバラつきが大きく、そもそもビットレートを絞りすぎな感もあり、各社が拡張規格として高ビットレートのモードを実装。

この後、解像度を引き上げようとすると一気に4Kとなってしまうので、撮像素子もDSPも記録メディアも追い付かない・・・ということで、民生用は一旦落ち着いたように思う。

 

しかし、並行して高画質化の別のパラメーターとしての撮像素子の大型化が進みつつあり、5Dmk2に注目が集まったり、RED ONEが登場したり、解像度以外の部分での高画質化の流れができ始めたのもこのころ。思うに、CMOS撮像素子の製造技術が進み、面積あたりのコストが下がってきたことや、ある程度の高速駆動が可能になってきたことなど、前向きな要素が重なった結果なのだろう。

ちなみに、RED ONEが出てくるまで、恐らく映像機器大手の会社は撮像素子の大型化を避けつつ高解像度化する道を模索していたのではないか。撮像素子が大型化すると、被写界深度の点で今までと同じ使い方ができなくなるうえに、そういったカメラの需要は絶対的な数量で言えば少ないからだ。
ただ、RED ONEの登場と時を同じくして5Dmk2への注目が集まり、ラージセンサー化の流れが無視できないと判断するに至ったため、急遽開発を進めることになった。だから、RED ONE登場後に対抗品を出すのに相当に時間がかかったのだと予想するのは妥当だろう。
もっとも、REDはニッチな市場だけをターゲットに製品を作っていたということもあるし、解像度が中途半端でも問題ないという割り切った考えを持っていたので早期に製品化できたということはあるだろうが。

そして、この辺りから「CMOSでもグローバルシャッターを実現したい」という話が本格化したように思う。撮像素子が大きければCMOSでも実装可能と判断したのか、撮像素子の大型化でローリングシャッター歪みが無視できないと考えるようになったか、CCDの頭打ちを意識したゆえの発想なのか、その全てなのかは不明だ。
しかし不思議なことに、そういった話が2013年頃に出てきたものの、その後2018年頃にも似たような話が出てきている。これは想像だが、最初は一部の製品で高コストだが力業でどうにかしたものの、結局のところそれは現実的ではないという話になり、半導体プロセスが進歩してから現実的な実装方法を探ってチャレンジしたのではないかと思う。しかし、現実的な製造方法を考案したものの、全てのCMOS撮像素子に普及させるような機能ではないので、結局のところ一部の製品にしか採用されずにとどまっているのが現状だろうか。
このあたりは目下最大の謎である。

 

そしてLOGの普及に関しては、ピーク輝度を伸ばすだけならガンマ係数を上げればいいんじゃないか?くらいに思っていたが、よく考えるとハイライトしか恩恵を受けないしローライトが犠牲になる。
ハイライトが粘りまくるけどシャドーがベタベタにつぶれた映像なんて、誰も見たくない。だから、シャドーも粘るしハイライトも飛びにくいカーブを各社が考えているということだ。いいかげん、ある程度まとめて欲しいと思う程度には乱立している。

 


ちょっと長くなってきたので、各社の思想など現状についてのまとめは別の機会にしようと思う。また、ここまで書いてきてF35のことを思い出したりしたが、潮流からは外れた存在なので見なかったことにしようと思う。技術的にはいろいろと面白いところがあるのは確かだが。

 

それでは皆さん、ごきげんよう